8月末参加したチーズ・セミナーのふたつめ、8/24のアフタヌーン・チーズ・ブレイク(ACB)の様子をレポートします。
24回めの今回のテーマは 「熟成の妙」
(画像はクリックすると、大きな画像が見れます。)
■ Afternoon Cheese Break 第24回 「熟成の妙」 2002 8/24
西宮で開かれているチーズ会です。(主催者のゆうこさんのHPはこちら)。
以前は2ヶ月に1回くらいのペースで行われていたのですが、ゆうこさん(佐藤一家)が東京へ引っ越しされてしまったため、ペースが落ちています。今回、9ヶ月ぶりのチーズ会です! でも、もう24回め。
普通(主婦・消費者の)の言葉・感覚で説明してくださるので、初心者でも安心。でも、決して、レベルが低いわけではありません。毎回深いレベルの説明、意外な角度からのお話が聞けるので、チーズに詳しい方でも新しい発見が必ずあります。
一方、参加費も、これだけチーズ食べて、ワイン飲んで、会場借りて、やっていけるのかなあと思うくらいリーズナブルです。
敷居が高くなくて、お値段安くて、有益。しかも、チーズもパンもワインもとても上質。
こんな三拍子、四拍子揃ったチーズ会はなかなかないですねえ。これからも、ぜひ続けていっていただきたいなあ。
今回のテーマは「熟成の妙」。
久しぶりのACBということで、ゆうこさん、ずいぶん力を入れられた様子。中身の濃い、面白い、自分1人じゃ絶対試せない企画でした。
各テーブルには、2種類、それぞれ3つ、合計6つのチーズが並んでいます。
(お借りした公民館の会議室、大きなテーブルに6人ずつ座ります。各テーブルの上には、籐製のトレイにラップが敷かれ、6人分のチーズが置かれています。)
左はカマンベール・ド・ノルマンディ。右は(山羊チーズの)セル・シュール・シェール。
3つはそれぞれ熟成の度合いが違います。
まずは、ゆうこさん作成のレジュメを見ながら、発酵とは? 熟成とは? について、科学的なお話を聞いていきます。同じく「熟成」と言っても、チーズにおける熟成とワインにおける熟成、考えてみれば当然違いますよね(違って当たり前)。でも、ひとりではそんなこと考えたこともなかったなあ。
さらに、今日試食する白カビチーズ(カマンベール・ド・ノルマンディ)、シェーブルチーズ(セル・シュール・シェール)の場合、若い時はどんな状態か、熟成が進むと何がチーズにおこって、味わいがどう変わっていくかなど、説明していただきます。
えーっと、チーズの内側では、乳酸菌が乳糖に入って、乳酸を出して、で、酸性になって(PHが上がって)そうすると乳酸菌が死んで、でも、一方で外につけてあるカビが乳酸を食べて活動して、するとPHが下がってまた乳酸菌ががんばって っと。だから、熟成は外から(カビのついている方から)進んでいくのか なるほどなるほど。で、最後は、乳酸菌も周りのカビも死んでしまって熟成ストップと。うまいこと、できてるな〜 ひたすら感心。
と、(私には)難しいお話も理解し(たつもり)ながら、合間に入る、「若いチーズはピチピチのお嬢さん、肌も弾力があってみずみずしくって。熟成の進んだチーズは年季の入ったおばさま。表面が変色したり、乾いたり、崩れたり」なんて説明に思わず笑ってしまったり。(あまりに、言い得て妙 ^^;;)
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カマンベールは、1)日本のお店に先週入荷した若い物(フランスでの熟成・輸送を考えると1ヶ月程度のもの)、2)ちょうど賞味期限が来ている物、3)賞味期限の日付より日がたった物の3種類。
上の真上から撮った写真、左の写真で、チーズの大きさ(縮み具合)、皮の色合いを比較してみてください。
3)は皮がオレンジっぽくなっているのでわかりますね。
1)と2)の区別がつきにくいですが、丸いラベルのついて
いる方が2)です。
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各テーブルで、それぞれのチーズを6等分します。
下の写真は、どちらも、左から若い順(1)、2)、3))に並んでいます。皮の色の違い、はっきりしていますね。断面のチーズの色(熟成の進み方)よくわかりますね。左の若いチーズは、まだ中にだいぶ芯が残っています。
人それぞれ好みがありますが、食べてみて、私の感想は
- 若いのは、芯がなくなるくらいまでもう少し待った方がいいかな。でも、チーズの臭みが苦手という方は、これくらいの方がいいかもしれません。後、暑い時は、若いチーズとさっぱりした白ワインの方が、もったりしなくていいかも。
- 2)と3)を比べると、うーん、3)はちょっとしんどいかな。皮までいただくことが多いのですが、3)の皮は食べれないですね。中の方も、ちょっと熟成しすぎて元気がなくなっちゃった感じかな。
今回は、外(常温)にそれなりの時間おいてから食べていますが、家でだと冷蔵庫から出してあまり時間がたたないうちに食べてしまうことも多いのですが、2)も3)もしっかり常温においてから食べないとダメですね。あと、熟成が進んだ物だからか私が赤ワイン好きだからかわからないけれど、白ワインより(軽めの)赤ワインの方が合うように感じました。
次はセル・シュール・シェル。表面の黒い物は灰です。若い物ほど、まだ黒々しています。
1)若いもの(フレ)、2)熟成させた物(セック)、3)水分をなくさないように熟成させた物(アフィネ)の3種類がトレイに乗っています。
大きさも、表面の灰の状態も、断面も、全然違います!
左の写真:(左から)セックとフレ 右の写真:(左から)フレとアフィネ
切ったところです。下の写真は、どちらも、左からセック、フレ、アフィネの順。
うーん、元は同じチーズなんだろうかというくらい、違います。
普段なら、このうちひとつを買ってきて、食べておしまいなわけですが、こうやって並べて比較すると、こんな違いがあるんだなあとわかったり、こんな風に熟成が進むんだな、こんな状態の物があるんだなあと感心したり。
食べてみた感想は
- 三者三様、特徴があって面白かったし、どれも美味しかったです。
- フレは、ほんとフレッシュな感じ。シェーブルチーズ独特の粘りけはないけれどきめ細やかな生地、さっぱりした独特の風味が楽しめます。冷やした白ワインがぴったり。
- アフィネ、これは初めてかなあ。こんな風な熟成のさせ方があるのだと感心。画像を見ても分かるように、周りのトロトロの部分が何とも言えない舌触り、味でした。
- セック。ちゃんと管理してここまで熟成が進んだ物は、とても美味しいです。フレと同じチーズとはとても思えないけれど。堅いのは堅いですが、ほっくりしているというか、まるでふかした木の実(栗)やお芋をほうふつとさせるような味わい。ある種、お酒のあてには一番かな (笑)
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さらに、今回、オマケのチーズが2つも!
もうすぐAOCに仲間入りする(後、官報に載るのを待つだけの)山羊乳チーズ「シュヴロタン」と牛乳チーズ「トム・ド・ボージュ」。どちらもサヴォワ地方のチーズです。 |
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ワインは、いつものように芦屋のワインガーデン・リブゴーシェ(HPはこちら)の細谷(ほそや)さんが選ばれたもの。 こだわりの細谷さんの説明をお聞きした後、今回は白1種類、赤3種類のワインをいただきました。 |
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今回は、種類も多かったし、白も赤もとても美味しいワイン揃いでした。
左の写真:白の2000 シャヴェルニー・ラ・ボディス・ブラン(ムーラン)
赤の1999 ブルグイユ キュヴェ・ニュイ・ディブレス(ブルトン)
真ん中に挟まれているのは、今回いただいたカマンベールのケース。
右の写真:シノン・クロ・デ・レコー(クーリー・デュティユ)のマグナム瓶。
1995と1986をいただきました。
そんな感じで、土曜日の午後、頭も新しい知識でいっぱい、美味しいチーズやワインでお腹もいっぱい、とても幸せな気分になっているうちに、あっと言う間の2時間が過ぎていったチーズ会のご報告でした。