8月末、2つ続けてチーズ・セミナーに行ってきました。
ひとつは、8/21に行われた、チーズプロフェッショナル協会(CPA)主催「五感を使ったチーズの評価法〜圧搾タイプ」 in 大阪。
もうひとつは、8/24の久しぶりのアフタヌーン・チーズ・ブレイク(ACB)、24回めの今回は 「熟成の妙」。
その1では、8/21のセミナーの様子をレポートします。(画像はクリックすると、大きな画像が見れます。)
■ 「五感を使ったチーズの評価法〜圧搾タイプ」
in 大阪(天満橋・ドーンセンター) 2002 8/21
五感を使ったチーズの評価法(官能評価の手法)を各種のチーズに適用・学んでいこうとする講座のシリーズ、セミハード&ハードチーズの巻です。(詳しい内容はCPAのHPにあります。)
う〜む、何だかむずかしい話です。官能評価って何?(^^;;)、しかも、参加者は皆さんプロ(レストランやお店でチーズを扱ってらっしゃる方、チーズ・プロフェッショナルの資格をお持ちの方)ばかり。(参加者は25名くらい、うち男性は5人くらい。)
何だか浮いてるなあと思いつつ、美味しいチーズの試食が始まれば、あっと言う間にそんなこと気にならなくなってしまいました。めったに食べれない珍しいチーズもあったし。ただ、何せ勉強会なので、飲み物は各自が持参した水だったのがちょっと残念だったかな。(これで、美味しいワインでもあれば最高なんだけどな・・・と思ったり (^^;;) 講習会なのに、何を考えているやら。)
全部で8種類のハード・セミハードチーズについて、見た目、匂い、味、触感などでチーズの状態を自分なりに判断しながら、講師の先生方が詳しく説明される状態や特徴の把握法をお聞きしました。8種類のチーズは、
- ラクレット(日本・北海道)
- シントコ(日本・北海道)
- コンテエクストラAOC 8ヶ月(フランス・ジュラ)
- コンテエクストラAOC 15ヶ月(フランス・ジュラ)
- パルミジャーノレッジャーノ(イタリア・パルマ)
- ライオールAOC(フランス・オーブラック高原)
- ミモレット(フランス・ノルマンディー)
- エメンタール(スイス・ベルン州)
判断するポイントは、I.外観、II.テキスチャー、III.フレーバーの3面。
まずは、I.外観について、全体(ホールまたはブロック)で、全体の形やカビの状態を見ます。
次に、II.テキスチャーについて、カードの色を見たり、リンドー(皮のすぐ内側で、少し色の変わっている部分のこと)の厚さ、空隙(チーズアイ、酪酸によるもの、メカニカルホールなど)の状態を見ます。
いろいろ新しい言葉ばかり、チーズの穴にいろいろな意味・でき方があるのだと感心。
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さらに、チーズの皮を落とし、カードの部分をサイコロ状に切ります。指で押さえ、堅さや弾力を感じ、口に含んで噛んでみてなめらかか、ざらつきはないか、溶けやすいか、粘りはどうかなど判断します。 粘りは、口の中のチーズを舌で上あごにくっつけてみます。粘りの強いチーズは張りつくので、張り付く度合いで粘り具合がわかります。
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そして、III.フレーバー。塩味・甘み・酸味・苦味・渋み、金属味・旨み・カビ臭・動物臭・乳やバター・野菜やハーブ・花や蜂蜜・果物やナッツ・香辛料・プロビオン酸・風味の持続性などの項目について考えていきます。
上の8種類のチーズ一つ一つに、これらの項目に関する判断をしていきました。
- ラクレット (非加熱圧縮タイプ・熟成4ヶ月)
テーブルごとに切り分けられたブロックの写真です。大きさ、下の18cmの紙皿と比較していただくとわかります。左と中央の写真、反対の面を見ています。
まわってこられた講師の先生が「あ、少し耳が立ってますね」 ・・・??・・・ よーく見ると、中央の写真○印のところ(拡大したのが、右の写真の矢印のところ)、縁が反り返ったように曲がっています。これは、水分が多いためそうなるそうで、状態としてはよくないんだそうです。
また、わりあい大きなメカニカルホールが多いです。メカニカルホールは、カードが粒のままくっついたため、隙間に乳清が(そのため発生した乳酸が)残った状態。問題(たとえば酸味)が起きているかも知れません。
大きなメカニカルホールはいわば悪玉で、小さなガス穴であるチーズアイは善玉なのか・・・また、ひとつ勉強になりました。
普段は、切って食べて(しばらく)味わってというだけですが、サイコロ状に切り、まずは手で弾力を確かめ、くんくん臭いをかぎ、よーく噛んで味わい、チェックシートの項目をひとつひとつ確認していきます。上あごにくっつけてみて粘りけを見たり、飲み込んだ後舌にざらつき感が残るか確かめたり。
う〜ん、こんな風に丁寧に食べたことってなかったなあ・・・ ぱぱっと食べて、ああ美味しいか、あれもうひとつかな?かのどちらか。ゆっくり味わうにしても、ポイントがわからなかったし。まだまだ知識が足りませんから、先生の模範解答とはかなり違う解答ばかりでしたが、解説をお聞きしながら、なるほどそんなものかあと、これまた感心。
以下、同じようなかたちで、ひとつひとつ判定をしていきました。
写真と、ちょっとだけコメントを載せています。
- シントコ (非加熱圧縮タイプ・熟成4ヶ月)
「新得生まれ」ということから名付けられた、コンテ風山のチーズ北海道版。
左:かなりリードが厚いです 右:皮、少し黒カビが生えています。
IやIIははじめて食べました。日本でもこんな種類のチーズ(まで)が、続々といいチーズが作られているんだなあと、ちょっと感動。
- コンテエクストラAOC 8ヶ月と 15ヶ月 (加熱圧縮タイプ)
左:一見、あまり違いがありませんが、下の15ヶ月の方が(当然ながら)リードが厚くなっています。
右:皮を見ると、違い(熟成度)がはっきり。
- パルミジャーノレッジャーノ (加熱圧縮タイプ・熟成24ヶ月以上)
旨み成分が、結晶になっているのがよくわかります。(左はブロックのまま、中央は小さく切ったもののアップ)
右:(少し切れていますが、)皮に、作者の名前が刻印されています。
- ライオールAOC (非加熱圧縮タイプ・熟成6ヶ月)
ライオールって、食べるの二度目じゃないかなあ。
ただ、大きく青カビが入っているのがわかります。あまりよい状態ではなかったようです、残念。
なんと、この段階でデジカメが電池切れ (涙)。
以下の写真は、講習会で余ったチーズをいただいて帰ったものを撮ったものです。
- ミモレット (半加熱圧縮タイプ・熟成24ヶ月)
向かって右の方に、網の目状の皮の部分が見えますが、これってダニ(チーズを食べるダニがいるんだ!)が食べた跡だそう。ふわーっ、知らなかった。
- エメンタール (加熱圧縮タイプ・熟成5ヶ月)
「トムとジェリー」でお馴染みの、大きな穴のあいたチーズ。
こんな風に細かく切る前に、写真撮りたかったですねえ・・・